AM ステレオ/同期検波アダプタ

モトローラのMC13020を使ったAMステレオ/同期検波を実験してみました.
八重洲のFT-1000MPの回路を参考に側波帯切替を試みてみました.
使用したステレオICはモトローラMC13020と発振用セラロックは,大阪の共立電子で手に入れました.
共立にはこのICを使った基板(SK13020)が売られていますので,面倒な方は利用されてもいいでしょう.
ステレオ信号検出周辺のCRは精度が要求されるので,コンデンサーはMKHやタンタル,抵抗は1%の
金属皮膜を使用しました.
作ってみて455KHzを入力したのですが,445KHz付近でロックしてしまったので,セラロックに入る
コンデンサ(51PF)をトリマーに変えてロックレンジを調整しました.(セラロックは3.64MHzを使用.)
IFが450KHzの場合,セラロックは3.6MHzを使用します.この場合は51PFでロックできますが,
ロックレンジを調整する場合はトリマーに変えた方がいいでしょう.
調整方法は,IF入力に455KHzを入れた時に,19Pinの電圧が4.15Vになるようにしました.
検波出力は1PinからI出力,20PinからQ出力,2Pinからエンベロープ出力が出ています.
これらを以下のように接続して出力を得ました.
ロックが外れたときには自動的にエンベロープ検波になるようにしてあります.
(ロック検出は10PinからCMOSで受けています.)
実際は出力レベルを合わせるためアンプが入っています.
エンベロープ出力 -------------------------+
|
+------------+ +-----+------+
| | LSB出力 | IN2,3 |
I出力 -----+ INA OUTA +--アンプ---+IN0 |
| | | OUT +---アンプ--- 出力
Q出力 -----+ INB OUTB +--アンプ---+IN1 |
| | USB出力 | B A |
+------------+ +--+------+--+ アナログSW
PSN モジュール | | 4051
(ICF2001Dに使われているもの) | |
| |
ロック検出 ----------------------------+ +------ LSB/USB切替
同期検波回路図 (43KByte)
PSNモジュールはSONYサービスセンターで手に入れましたが,自作することも可能です.
中身は位相を90度ずらすAF PSNと加算,減算回路です.
さて,以前作ったCX857(ICF2001Dで使われているもの,ハムジャーナル誌#88参考)と比較して
みました.信号源は八重洲のFT757から455KHzのIFを取り出したものです.
テストした局は,9505KHzの北朝鮮と9740KHzのBBC,9760KHzのVOA,中波局です.
ロックレンジの測定はSSGの出力(240mVP.P.)を各ICに直接入れて測定した結果です.
CX857の特徴は..
ロック時間が速いが,フェージングでロックが外れた時の音がノイズっぽい.
前述の記事の回路ではエンベロープ検波の切替がないため.
ロックレンジは450.75KHz〜459.30KHzで8.55KHz幅.
実際に使用すると無信号時にもロックLEDが点灯している.
MC13020の特徴は..
ロック時間が遅く(ピュッという音が出る),ロックが外れたときのビート音が気になる.
(ロックが外れた時にエンベロープ検波に切替えたのはこのため.)
CX857と比較して若干ロックが外れやすい.
ロックレンジは449.53KHz〜459.40KHzで9.87KHz幅.
ロック時間以外目立った違いがなくロックが外れた時にエンベロープ検波に切り替えることにより,
十分実用になることがわかりました.
短波帯でフェージングの多い場合ロックが外れやすいと感じましたが,エンベロープ検波への
切替がうまくいっているためか試聴していて違和感はありませんでした.
フェージングに弱いのは受信機のAGC時定数と関係があると思われます.
同期検波では音がよくなったためか隣接局のビート(短波だと5KHz)が目立つ時があり,ノッチを
つける必要性を感じました.
またMC13020にはAGC出力があるので,Sメータをつけたり,ミュートやスケルチをつける事もできます.
CX857が入手難の現在,ステレオ復調も可能なのでお徳なアダプタになると思います.
ローカル中波はステレオで,DX中波,短波は同期検波と簡単に切り替えられるのが大きなメリットです.
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